購入時の契約書がない!不動産の『取得費』がわからない時の調べ方と5%ルールの回避法


「親から相続した古い実家を売却したけれど、当時の売買契約書が見当たらない」

「数十年前に家を買った時の正確な金額を誰も覚えていない」

不動産を売却したあとの確定申告で、多くの方が直面するのが**「取得費(購入代金)」が不明**という問題です。税金は、売却金額からこの「取得費」や「諸経費」を差し引いた利益(譲渡所得)に対してかかります。

もし取得費がわからないまま申告すると、税務署のルールで「売った金額の5%」を取得費として計算することになります。しかし、これでは実際の購入価格より大幅に低く見積もられることが多く、払わなくてもいいはずの多額の税金が発生してしまうのです。

この記事では、契約書を紛失してしまった方のために、取得費を証明する代替手段や、不利な「5%ルール」を回避するための具体的な対策を詳しく解説します。


なぜ「契約書なし=5%」だと損をするのか?

不動産売却の税金計算では、以下の数式が基本となります。

譲渡所得 = 売却代金 -(取得費 + 譲渡費用)

例えば、3,000万円で売れた物件の取得費が不明で「5%ルール(概算取得費)」を適用すると、取得費はわずか150万円(3,000万円 × 5%)になります。残りの2,850万円が「利益」とみなされ、そこに約20%〜40%の税金がかかるため、数百万円単位の重い税負担を強いられるリスクがあるのです。

しかし、当時の契約書そのものがなくても、客観的な証拠があれば「実際の取得費」として認められる可能性があります。


契約書がない時の「取得費」調査・証明リスト

諦める前に、以下の書類や記録が残っていないか家中を探してみましょう。これらは取得費を裏付ける有力な証拠になり得ます。

1. お金の流れを記録した資料

  • 通帳の記帳履歴: 住宅ローンの振込記録や、頭金の引き出し履歴。

  • 住宅ローンの金銭消費貸借契約書: 銀行からいくら借りたかの記録。

  • 抵当権の設定金額: 登記簿謄本(登記事項証明書)を確認し、当時の借入額から購入価格を推測します。

2. 当時のパンフレットや領収書

  • 販売当時のパンフレット・価格表: 同じマンションや分譲地の他区画の価格からも類推可能です。

  • 領収書: 仲介手数料、登記費用、精算した固定資産税などの記録。

  • リフォーム費用の領収書: 購入後の改修費用も取得費に加算できます。

3. 公的な記録や当時の書類

  • 譲渡所得税の申告書(以前の所有者のもの): 親が買った時の資料が残っていれば最強の証拠です。

  • 不動産購入時の火災保険の加入書類: 保険金額は建物の評価額に基づいているため参考になります。


最終手段!「市街地価格指数」による合理的推計

どうしても当時の金額がわからない場合、**「市街地価格指数」**を用いた推計計算が認められるケースがあります。これは、売却した時の価格をベースに、日本不動産研究所が発表している地価の変動率を遡って計算し、「購入当時はこれくらいの価値だったはずだ」と論理的に導き出す手法です。

ただし、この方法は専門的な知識が必要であり、税務署との交渉材料とするには税理士などの専門家のアドバイスを受けるのが安全です。


e-Taxで申告する際の入力のコツ

e-Tax(電子申告)で取得費を入力する際、契約書がないからといってすぐに「概算(5%)」を選ばないようにしましょう。

  • 「実額」で入力する場合: 上記の代替資料から算出した金額を入力します。

  • 備考欄や添付資料の活用: なぜその金額になったのか、根拠となる計算式や資料があることを明確にします。e-Taxでは、補足資料をPDF形式で送信したり、後日別途提出したりすることが可能です。

「5%ルール」はあくまで「他に手段がないとき」の最終手段です。少しの手間で納税額が100万円単位で変わる可能性があるため、妥協せずに資料を集めることが大切です。


まとめ:高額な税金を回避するために

不動産売却の確定申告において、取得費の把握は「節税」の要です。たとえ契約書を失くしていても、通帳の一行や一枚のパンフレットがあなたを救うかもしれません。

まずはタンスの奥や銀行の古い記録をチェックすることから始めましょう。それでも見つからない場合は、そのまま5%で申告する前に、一度専門家へ相談することをお勧めします。


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