法人の不動産売却で使える「節税スキーム」5選!赤字相殺や買換え特例をプロが解説
「会社の土地を売却する予定だが、多額の税金で利益が消えてしまうのが心配だ…」
「法人ならではの強力な節税方法があるなら、売却前に知っておきたい」
法人が不動産を売却した際、その利益は他の事業所得と合算されるため、対策を怠ると法人税や住民税などの重い負担がのしかかります。しかし、法人は個人よりも損益計算の自由度が高く、戦略的に「節税スキーム」を組むことが可能です。
本記事では、不動産売却益を賢く圧縮し、会社に最大限のキャッシュを残すための**「5つの節税スキーム」**を徹底解説します。
1. 損益通算と「繰越欠損金」の活用
法人の不動産売却において、最も基本的かつ強力なのが**「損益通算」**です。
本業の赤字とぶつける
不動産の売却益(益金)は、その年度の本業の赤字(損金)と相殺できます。例えば、不動産売却で5,000万円の利益が出ても、本業で2,000万円の赤字があれば、課税対象は3,000万円まで圧縮されます。
過去10年分の赤字を活用
青色申告法人であれば、過去に発生した赤字を最大10年間繰り越せる**「繰越欠損金」**が利用可能です。
スキームのポイント: 過去の赤字が残っているうちに売却を実行する、あるいは売却する期に合わせてあえて大きな経費(修繕費など)を計上し、赤字を作る戦略が有効です。
2. 「役員退職金」による利益の相殺
社長や役員の引退時期が近い場合、不動産の売却益を**「役員退職金」**の支払いに充てることで、法人税を大幅に軽減できます。
なぜ節税になるのか
役員退職金は、法人にとっては全額「損金(経費)」として認められます。一方、受け取る個人側でも「退職所得控除」が適用されるため、通常の給与やボーナスに比べて所得税・住民税が極めて低く抑えられます。
スキームのポイント: 「不動産の売却益」と「退職金の支払い」を同じ事業年度にぶつけることで、会社から個人へ効率的に資産を移転しつつ、法人税をゼロに近づけることが可能です。
3. 「特定の資産の買換え特例」による課税の繰延べ
売却益をそのまま次の投資へ回したい場合に有効なのが、**「買換え特例(圧縮記帳)」**です。
仕組みとメリット
一定の条件(10年超所有の土地を売却し、新たな事業用資産を取得するなど)を満たす場合、売却益の最大80%を将来に繰り延べることができます。
節税の効果: 本来なら今期払うべき数千万円の税金を、次の物件を売却する時まで先送りにできるため、手元の再投資資金を減らさずに済みます。
4. 「中古木造物件」への再投資による減価償却
売却益を一時的な損失で打ち消すのではなく、**「将来の経費」**に変換する手法です。
法定耐用年数超え物件の魔力
売却益が出た期に、築22年を経過した「中古木造アパート」などを購入します。こうした物件は、法定耐用年数の関係で最短4年という極めて短い期間で建物の価値を減価償却(経費化)できます。
スキームのポイント: 売却益を原資に新たな収益物件を購入し、毎年多額の「減価償却費」を計上することで、数年間にわたって本業の利益を圧縮し続けることができます。
5. 倒産防止共済(経営セーフティ共済)の活用
中小企業であれば、**「経営セーフティ共済」**の掛け金を活用した微調整が可能です。
全額損金扱いの積立金
年間最大240万円(累計800万円まで)を全額損金として積み立てることができます。不動産を売却する期にまとめて前納(1年分一括支払い)することで、利益をピンポイントで圧縮できます。
注意点: 解約時には「益金」として戻ってくるため、他の赤字が出るタイミングや退職金支払い時と合わせて解約する「出口戦略」がセットで必要です。
補足:建物にかかる「消費税」の落とし穴
節税とは少し異なりますが、法人が不動産を売却する際に忘れてはならないのが消費税です。土地の譲渡は非課税ですが、建物には消費税がかかります。
売買契約書で「土地・建物の価格の内訳」を戦略的に決めることで、納付する消費税額や、買い手側のメリット(建物比率が高い方が減価償却しやすい)を調整し、有利な条件で交渉を進めることが可能です。
まとめ:売却前に「決算シミュレーション」を
法人の不動産売却は、単に高く売るだけでなく**「いかに損金とぶつけるか」**が成否を分けます。
繰越欠損金はないか?
今期、大きな修繕や退職金の予定はないか?
売却後に**再投資(買換え)**をする予定はあるか?
これらの項目を事前に整理し、税理士や専門家とシミュレーションを行うことで、手残り額は劇的に変わります。法人の強みを最大限に活かし、賢い資産防衛を実現しましょう。