日本証券業協会(JSDA)とは:役割と目的を徹底解説
「日本証券業協会(にほんしょうけんぎょうきょうかい、略称:日証協、JSDA)」は、日本の証券市場における公正性と健全性の維持、そして投資者の保護を目的として設立された、金融商品取引法に基づく認可法人(認可金融商品取引業協会)です。
全国の証券会社や銀行などの金融商品取引業者を協会員として組織し、主に以下の二つの大きな役割を担うことで、日本の金融・資本市場の発展に貢献しています。
1. 協会設立の「目的」と「組織」
🔹 目的
日本証券業協会は、協会員が行う有価証券(株式や債券など)の売買その他の取引を公正かつ円滑に行えるようにし、金融商品取引業(いわゆる証券業)の健全な発展を図るとともに、投資者の保護に資することを目的としています。
🔸 組織
根拠法: 金融商品取引法
団体種類: 認可金融商品取引業協会
構成員(協会員): 全国の証券会社(会員)、証券業務を行う銀行などの登録金融機関(特別会員)などによって組織されています。
2. 日本証券業協会の二つの大きな「役割」と主な業務
日本証券業協会は、**「自主規制機関」と「業界団体」**という二つの側面から、幅広い業務を行っています。
1️⃣ 自主規制機関としての役割(自主規制業務)
市場の公正性・透明性を確保し、投資者を守るために、業界の自主的なルール作りと監視を行います。
自主規制ルールの制定・実施: 証券会社などが守るべき独自のルール(自主規制ルール)を策定し、実施します。
監査及びモニタリング調査: 協会員が法律や協会ルールを遵守しているかを監査し、チェックします。
自主制裁の発動: ルール違反があった場合、協会員に対してペナルティ(自主制裁)を科します。
外務員登録事務と資格試験の実施: 証券会社などで証券業務を行うために必要な**「外務員」の資格試験**(証券外務員資格試験)を実施し、合格者の登録事務を行います。
苦情・相談、あっせん: 投資者からの証券取引に関する苦情や相談に応じ、証券会社等との間のトラブル解決を図るためのあっせん(特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センターに業務委託)を行います。
2️⃣ 業界団体としての役割(市場発展・普及啓発業務)
金融商品取引業や市場の健全な発展を推進し、国民の金融知識の向上に貢献します。
金融・資本市場の発展推進: 市場に関する調査研究を行い、税制問題や制度問題などについて政府や関係機関に提言(政策提言)し、制度改正の実現を働きかけます。
統計資料の発表: 債券市場の管理を行い、公社債売買参考統計値などの統計資料を公表し、市場の透明性を高めます。
金融・証券知識の普及・啓発: 学校や社会人向けにセミナーや講師派遣などを通じて、金融経済教育の普及・啓発活動を行い、国民の安定的な資産形成を支援しています。
国際活動: 海外の証券関係団体等との情報交換や国際交流を行い、日本市場の海外へのプロモーションなども行います。
日本証券業協会は、これらの活動を通じて、公正で透明性の高い金融・資本市場の環境作りに貢献し、投資者保護と証券市場の健全な発展という公共性の高い目的を果たす、わが国における金融取引に不可欠な中核機関としての役割を担っています。