借入残債がある戸建ての「買取」の流れ:迅速・確実な売却のステップ


住宅ローンなどの借入残債(ローン残高)が残っている戸建てを売却する方法として、「買取」は、売却期間の短縮売却の確実性を重視する方に最適な選択肢です。

買取では、不動産会社が直接買い主になるため、一般の購入希望者を探す手間や時間がかかりません。しかし、ローンが残っている物件には必ず抵当権(担保権)が設定されており、これを抹消しないと引き渡しが完了しません。

ここでは、残債がある状態での戸建て買取を成功させるための、具体的な流れと重要なポイントを解説します。


1. 売却前準備:残債の確認と資金計画の確立

まず、現在の借入状況と、買取価格で完済が可能かどうかを正確に把握します。

ステップ1:ローン残債の確定と一括返済額の確認

  1. 残高の確認: 金融機関から毎年送付される**「住宅ローン残高証明書」や、返済予定表、または金融機関の窓口・マイページで、現在のローン残債**を正確に確認します。

  2. 一括返済額の問い合わせ: 実際に売却する際の**「一括繰上返済額」**(利息を含めた最終的な完済に必要な金額)を金融機関に問い合わせておきましょう。これは、決済日に必要な現金総額を把握するために重要です。

ステップ2:買取査定の依頼と資金計画のシミュレーション

  1. 買取査定: 戸建ての買取を専門とする不動産会社に査定を依頼します。買取価格は仲介の相場より安くなる傾向がありますが、仲介手数料が不要というメリットも考慮して検討しましょう。

  2. 完済可能性の判断(オーバーローン/アンダーローン): 提示された買取価格とローン残債を比較し、売却代金だけで完済できるアンダーローン状態か、自己資金の補填が必要なオーバーローン状態かを判断します。

  3. オーバーローンの対策: オーバーローンの場合は、自己資金で不足分を補うか、住み替えローンの利用、または任意売却の検討が必要です。この計画を事前に不動産会社や金融機関と相談します。


2. 契約から決済:抵当権抹消を伴う同時手続き

買取契約を結んだ後、最も重要なのが決済日(引き渡し日)に行う、「代金受領」「ローン完済」「抵当権抹消」同時手続きです。

ステップ3:金融機関への連絡と売買契約の締結

  1. 金融機関への事前連絡: 買取価格で売却することが決まったら、すぐにローンを組んでいる金融機関に「戸建てを売却し、売却代金でローンを一括返済する」旨を伝えます。抵当権抹消に必要な書類を準備してもらう必要があります。

  2. 売買契約の締結: 買主である買取業者と売買契約を締結し、手付金を受け取ります。この時点で、**決済日(引き渡し日)**を確定します。

ステップ4:決済日(引き渡し)の当日プロセス(取引の核心)

決済日は、売主・買主(不動産会社)、金融機関担当者、司法書士が一堂に会し、手続きを同時進行させます。

  1. 残代金の受領: 買主(不動産会社)から、手付金を差し引いた**残りの売却代金(残代金)**を売主の口座で受け取ります。

  2. ローンの一括返済: 受領した売却代金、およびオーバーローンの場合は準備した自己資金をもって、住宅ローン残債全額を金融機関に一括で返済します。

  3. 抵当権の抹消: 完済が確認されると、金融機関の担当者は抵当権抹消に必要な書類をその場にいる司法書士に手渡します。

  4. 所有権の移転と登記申請: 司法書士は、金融機関から受け取った抹消書類と、売主から受け取った所有権移転のための書類を持って法務局へ向かい、「抵当権の抹消登記」と「買主への所有権移転登記」を同時に申請します。

  5. 物件の引き渡し: 全ての手続きが完了したことを確認し、売主は買主(不動産会社)に鍵を渡し、取引完了となります。


3. 買取のメリットとデメリット

残債がある状況で「買取」を選択した場合の主なメリットとデメリットを理解しておきましょう。

メリット(買取の強み)デメリット(価格重視なら注意)
売却期間が非常に短い(最短数日〜数週間)。売却価格が仲介より安い(市場価格の7〜9割程度になる傾向)。
仲介手数料が不要(買主が不動産会社のため)。買取対応できる不動産会社を探す必要がある。
契約不適合責任(売却後の物件の不具合への責任)が免責されることが多い。
内覧対応や広告活動が不要。周囲に知られずに売却できる。

借入残債がある戸建ての売却は複雑に感じられますが、買取であれば、売却のプロである不動産会社が手続きをリードし、司法書士が登記をサポートするため、売主の負担は大きく軽減されます。まずは正確な残債額を把握し、買取専門の会社に相談することから始めましょう。

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