借地権・借家権付き物件の買取リスクを徹底解説
「借地権・借家権付きの物件は、安く買えるらしい」
そう聞いて、購入を検討している方もいるかもしれません。
確かに、これらの物件は通常の所有権物件よりも安価な傾向にあります。しかし、その裏には、事前に知っておくべき多くのリスクが隠されています。
今回は、借地権・借家権付き物件の買取を検討する際に、特に注意すべき3つのリスクと、それらを回避するためのポイントを分かりやすく解説します。
1. 自由に建物を建てられない「借地権」のリスク
借地権とは、土地を借りて、その土地の上に建物を建てて所有する権利のことです。建物の所有者はあなたになりますが、土地の所有権は地主が持っています。
この借地権付き物件には、次のようなリスクがあります。
建て替えや増改築に制限がある:
地主の承諾がないと、建物の建て替えや増改築が自由にできません。承諾料として、高額な費用を請求されることもあります。
地代を支払い続ける必要がある:
土地の所有者ではないため、地主に対して毎月「地代」を支払い続けなければなりません。地代が急に値上げされる可能性もゼロではありません。
売却や担保設定に制限がある:
借地権を売却したり、金融機関から融資を受ける際に担保に設定したりする場合にも、地主の承諾が必要です。
契約更新の不確実性:
借地契約には期間が定められており、更新時に地主が正当な理由で更新を拒否する場合があります。
【ポイント】
借地権付き物件を検討する際は、契約内容を隅々まで確認し、地主との関係や地代の支払い実績などを細かくチェックすることが非常に重要です。
2. 占有者(入居者)の立ち退きが難しい「借家権」のリスク
借家権とは、建物を借りて、居住する権利のことです。あなたが借家権付き物件を買取した場合、その物件にはすでに誰かが住んでいる状態(占有者がいる状態)となります。
この借家権付き物件には、次のようなリスクがあります。
占有者の立ち退きが困難:
日本の法律では、借家権を持つ賃借人(入居者)の権利が強く保護されています。あなたが「物件を使うから出て行ってほしい」と伝えても、正当な理由がない限り、入居者を強制的に退去させることは非常に難しいです。
高額な立ち退き料の請求:
入居者に自主的に退去してもらうためには、相場よりも高額な「立ち退き料」を支払う必要があるケースがほとんどです。この費用は、当初の想定をはるかに超えることがあります。
賃料収入が得られない可能性:
入居者が家賃を滞納していたり、あなたの希望する賃料での再契約を拒否したりする可能性があります。
【ポイント】
借家権付き物件の買取は、不動産の専門家と綿密な計画を立てて進める必要があります。特に、占有者との交渉や契約内容の確認は、専門家に依頼するのが賢明です。
3. 一般的な金融機関からの融資が受けにくいリスク
借地権・借家権付き物件は、一般的な不動産よりもリスクが高いと見なされる傾向にあります。そのため、銀行などの金融機関が融資に消極的で、希望する金額のローンが組めない可能性があります。
これは、もし返済が滞った場合に、物件を担保として差し押さえても、第三者の権利(借地権・借家権)があるため、換金が難しいと判断されるためです。
【ポイント】
融資を検討する際は、借地権・借家権付き物件の取り扱いに慣れている専門の金融機関や、ノンバンク系での融資を検討する必要が出てくるかもしれません。
まとめ:専門家と協力してリスクを回避しよう
借地権・借家権付き物件の買取は、通常の不動産取引とは異なる専門的な知識が必要です。安価だからといって安易に飛びつくと、後で大きな損失を被る可能性があります。
借地権は、土地の利用に制約がある。
借家権は、入居者の立ち退きが難しい。
どちらも、融資が受けにくい場合がある。
これらのリスクを回避するためには、不動産専門の弁護士や司法書士、そして専門知識を持った不動産会社と連携し、綿密な調査と計画を立てて進めることが何よりも大切です。
安さの裏に隠されたリスクを正しく理解し、賢い買取を実現しましょう。