相続した実家を売却した時の税金はいくら?「3000万円控除」適用条件と注意点
親が大切に守ってきた実家を相続したものの、「住む予定がない」「維持費や固定資産税が負担」といった理由で売却を検討される方は非常に多いです。
不動産を売却して利益が出た場合、通常は「譲渡所得税」という重い税金がかかります。しかし、相続した空き家を売却する際には、一定の条件を満たすことで利益から最大3000万円を差し引ける**「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」**(通称:空き家の3000万円特例)を活用できる可能性があります。
この特例を使えるかどうかで、最終的に手元に残る現金が数百万円単位で変わることも珍しくありません。今回は、この強力な節税制度の適用条件と、知っておかないと怖い注意点をわかりやすく解説します。
1. 譲渡所得税の基本:いくら税金がかかるのか?
不動産を売った時の税金は、単純な売却価格にかかるのではなく、「売却益(譲渡所得)」に対してかかります。
この計算でプラス(利益)が出た場合、所有期間に応じた税率を掛け合わせます。相続の場合、所有期間は親が購入した日から引き継がれるため、多くは「長期譲渡所得(税率20.315%)」が適用されます。
例えば、利益が2000万円出た場合、何も対策をしなければ約400万円の税金を納めることになりますが、「3000万円特例」が適用されれば税金は0円になります。
2. 「空き家の3000万円特例」を受けるための主な条件
この特例は、増え続ける空き家問題を解消するために国が設けた優遇措置です。そのため、適用を受けるにはいくつかの厳しいハードルがあります。
建物に関する条件
昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたものであること(旧耐震基準の建物が対象)。
区分所有建物(マンションなど)ではないこと(一戸建て限定)。
相続開始の直前に、親(被相続人)が一人で住んでいたこと(老人ホーム等に入所していた場合も一定の条件で認められます)。
売却に関する条件
売却代金が1億円以下であること。
相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
売却の際、建物に「耐震リフォーム」を施すか、あるいは「建物を取り壊して更地」にして引き渡すこと。
【最新の緩和ポイント】
以前は「売主が売却前に」耐震改修や取り壊しを行う必要がありましたが、現在は**「売却後に、買主が翌年2月15日までに」**耐震改修や取り壊しを行った場合でも、特例が適用できるようになっています。
3. ここが落とし穴!適用時の注意点
せっかくの特例も、一歩間違えると適用外になってしまうことがあります。
相続人が3人以上の場合は注意
2024年以降の改正により、相続人が3人以上で一つの物件を売却する場合、一人あたりの控除限度額が2000万円に引き下げられました。「全員3000万円ずつ引ける」と思い込んでいると、思わぬ納税が発生する可能性があります。
「貸付」や「居住」の履歴はNG
相続してから売却するまでの間に、一度でも第三者に貸し出したり、相続人が自分で住んだりしてしまうと、この特例は使えなくなります。あくまで「空き家のまま」管理し、売却することが求められます。
確定申告が必須
「控除を使えば利益が0円になるから、申告しなくていい」というのは大きな間違いです。この特例は、確定申告を行うことで初めて適用されるものです。期限内に申告を忘れると、正規の税額を請求されてしまいます。
4. 3000万円特例が使えない時の「取得費加算の特例」
もし昭和56年以降に建てられた実家で、上記の特例が使えない場合でも、**「取得費加算の特例」**が使えるかもしれません。
これは、相続税を支払った人が、相続から3年10ヶ月以内に不動産を売却した場合、支払った相続税の一部を経費(取得費)として計上できる制度です。空き家特例ほどのインパクトはありませんが、確実に税負担を軽くすることができます。
まとめ:売却のタイミングと準備が節税の鍵
相続した実家の売却には、「3年」という一つの大きな期限があります。この期間を過ぎると、今回ご紹介したような強力な特例が使えなくなり、納税額が跳ね上がってしまうリスクがあります。
「まだ先のこと」と思わず、まずは実家の築年数や登記情報を確認し、どの特例が活用できそうかシミュレーションしておくことが大切です。
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