幻の「黒いマルチーズ」は本当にいた!? 消えた理由と現在のマルチーズの秘密


真っ白なふわふわの被毛が特徴のマルチーズ。「白い小型犬」の代表格として、世界中で愛されていますよね。しかし、実はマルチーズの歴史の中には、**「黒色のマルチーズ」**が存在していたという驚きの事実があることをご存知でしょうか?

「え、マルチーズって白だけじゃないの?」

「もしいたとして、なんで今は見ないの?」

そんな疑問をお持ちのあなたのために、この記事では、幻の黒いマルチーズの歴史をひも解き、なぜ彼らが姿を消したのか、そして現在のマルチーズがなぜ純白なのか、その遺伝の秘密までを徹底的に解説します。マルチーズの知られざる歴史と、犬種としての奥深さに触れてみましょう!


1. 驚きの事実!かつて「黒色のマルチーズ」は存在していた

現在のマルチーズのイメージとはかけ離れていますが、歴史を遡ると、確かに黒色のマルチーズが存在したという記録や絵画が残されています。

古代の記録や絵画に見る黒マルチーズ

マルチーズの祖先とされる犬は、紀元前1500年頃にはすでに地中海沿岸に存在していたと言われています。古代ギリシャやローマの文献、そしてルネサンス期のヨーロッパの絵画には、貴婦人に抱かれる白い犬の姿が多く描かれていますが、中には黒や他の色を持つマルチーズに似た犬が描かれているものも確認できます。

これらの記録から、マルチーズの祖先犬は、現在のような純白の犬ばかりではなく、多様な被毛の色を持っていたことが推測されます。当時は、現在の犬種のような厳密な血統管理が行われていなかったため、様々な毛色の個体が存在していたと考えられます。

「マルチーズ」という犬種が確立されるまで

現在「マルチーズ」として認識されている犬種は、19世紀に入ってからイギリスで品種改良が進められ、固定化されていきました。この過程で、「純白の被毛」がマルチーズの最も重要な特徴として強調され、繁殖の基準となっていったのです。


2. なぜ「黒いマルチーズ」は姿を消したのか? その理由

では、なぜかつて存在したとされる黒いマルチーズは、現代においてほとんど見かけなくなったのでしょうか? その背景には、犬種の**「固定化」「純血種の基準」**が深く関わっています。

(1) 「純白の被毛」が犬種標準となったため

マルチーズが現在の犬種として確立される過程で、ブリーダーや犬種団体は、その特徴を明確にするために**「犬種標準(スタンダード)」**を定めました。この犬種標準において、「被毛の色は純白であること」が厳しく規定されたのです。

犬種標準は、その犬種が持つべき理想的な特徴を示すものであり、ショーや繁殖の際の重要な基準となります。この基準から外れる毛色の犬は、たとえマルチーズの血を引いていても、純血のマルチーズとしては認められなくなりました。

(2) 計画的な繁殖による「遺伝子の淘汰」

犬種標準に合致する「純白の被毛」を持つマルチーズを増やすため、ブリーダーたちは、白い毛色を持つ個体同士を優先的に交配させるようになりました。これは、特定の遺伝子(ここでは白い被毛の遺伝子)を強化し、それ以外の色(黒色など)の遺伝子を次世代に伝えないようにする、いわば**「遺伝子の淘汰」**です。

このような選択的な繁殖が何世代にもわたって繰り返された結果、黒色の被毛を持つマルチーズの個体は徐々に減少し、最終的には現在の純白のマルチーズが主流となりました。

(3) 記録の曖昧さと混同の可能性

過去の記録や絵画に黒いマルチーズのような犬が描かれているとしても、それが現在のマルチーズと完全に同じ犬種であったかどうかは断定できません。当時は「マルチーズ」という厳密な定義がなく、単に「マルタ島由来の白い小型犬」といった意味合いで使われていた可能性もあります。他の犬種との交配によって生まれた、マルチーズに似た黒い犬だったという可能性も否定できません。


3. 現在のマルチーズはなぜ「純白」なの? 遺伝の秘密

現代のマルチーズが純白である背景には、遺伝子のメカニズムが深く関係しています。

犬の被毛の色は、複数の遺伝子が複雑に作用して決まります。マルチーズの場合、被毛を白くする遺伝子(色素を薄める遺伝子や、色素の発現を抑制する遺伝子)が選択的に受け継がれるように繁殖されてきました。

  • 色素細胞の欠如、または色素の不活性化: 白い被毛は、毛に色素細胞がないか、色素細胞があっても色素が作られない、または不活性化されていることによって生まれます。

  • 遺伝子の固定化: 長年の選択的な繁殖により、マルチーズは「純白の被毛」という特徴を決定づける遺伝子が固定化され、他の毛色の遺伝子がほとんど失われた状態にあると考えられます。

そのため、現在のマルチーズは、白いマルチーズ同士を交配させれば、ほぼ例外なく白い子犬が生まれるようになっているのです。


4. では、現在の「黒いマルチーズ」はいるの?

犬種標準に則った「純血のマルチーズ」として、公式に「黒色のマルチーズ」が存在することはありません。しかし、いくつかの可能性は考えられます。

(1) ミックス犬(マルチーズと他犬種の交配)

マルチーズと黒い被毛を持つ他の犬種(例:プードル、チワワなど)を掛け合わせた**ミックス犬(雑種)**であれば、黒色の被毛を持つ「マルチーズミックス」は存在します。見た目はマルチーズに似ていても、純血のマルチーズではありません。

(2) ごく稀な突然変異や先祖返り

非常に稀なケースですが、何世代も前に存在した他の毛色の遺伝子が、ごく稀に突然変異や**「先祖返り」**という形で発現し、白いマルチーズの親から黒い子犬が生まれる可能性もゼロではありません。しかし、これは遺伝子レベルでの極めて珍しい現象であり、犬種標準からは外れるため、公式な「黒いマルチーズ」として認められることはありません。

(3) 別の犬種との混同

「黒いマルチーズ」と認識されている犬が、実際には別の犬種(例:シーズーの黒い子、チワワとマルチーズのミックスなど)である可能性も考えられます。マルチーズと似た外見の小型犬は他にもいるため、誤解が生じることもあります。


まとめ:白い輝きは、歴史と品種改良の証

マルチーズの純白の被毛は、単なる偶然ではなく、長年にわたる計画的な品種改良と、犬種標準という厳格な基準によって守られてきた結果です。かつて存在したとされる黒いマルチーズは、その歴史の中で「純白」という理想が追求された過程で、その姿を消していった幻の存在だと言えるでしょう。

現在の白いマルチーズが持つ唯一無二の輝きは、まさにその歴史と品種改良の証なのです。マルチーズのルーツと現在の姿を知ることで、彼らの魅力がさらに深く感じられるのではないでしょうか。

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